7.15 Blu-ray&DVD RELEASE

詳しくはこちら

PRODUCTION NOTE

原作者自ら手掛けたオリジナル脚本

1996年に「ヤングマガジン」で連載が始まった漫画「賭博黙示録カイジ」。9年ぶり3作目となる映画『カイジ ファイナルゲーム』は、シリーズ史上初めて、原作者の福本伸行による完全オリジナルストーリーである。『カイジ 人生逆転ゲーム』(09)、『カイジ2 人生奪回ゲーム』(11)、そして本作と、3作品全てを手掛ける藤村直人プロデューサーは言う。「前2作は、漫画の設定をお借りして制作しましたが、シリーズ最終回となる今回は、映画オリジナルのストーリーを福本先生に考えてもらうのが一番良いのではないかと思い、お願いしたところご快諾いただきました」。脚本は、開発にじっくりと時間がかけられ、ゲームについてもファイナルにふさわしいものを考えることになったが、福本からは、次々とゲームのアイディアが出てきたという。その中から厳選された「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」という、刺激的な4つのオリジナルゲームが映像化されることに。
借金にまみれ、底辺で生きるダメ人間・カイジを演じるのは、もちろん藤原竜也。モッズコートにジーンズ、チェックシャツといったファッションや、熱くエネルギッシュな芝居はそのままだが、今回のカイジは、これまでとは一味違う一面も見せる。その成長ぶりも見どころの一つだ。「前2作と比べると脚本が一筋縄ではいかない、裏の裏をかいて進めていく物語に仕上がっていました。軽く読んだだけではなかなか理解するのが難しいような、大人のストーリーになっていて面白かったです」と藤原は語っている。

9年ぶりの『カイジ』に
超豪華キャスト結集

本作のキャスティングは、藤原竜也と誰の演技バトルを見たいか? という視点で進められていった。高倉浩介役には、福士蒼汰。「若手演技派の福士さんと、藤原さんとの対決は、見ごたえのあるものになると思ったんです。それに、悪い役を演じる福士さんも見てみたかった」と藤村プロデューサー。一方、謎めいた役にしたかったという廣瀬湊役には、新田真剣佑をキャスティング。「彼は底が知れない、いい意味で何を考えているのかわからない芝居ができる。藤原さんの芝居の質とは違う面白さがあるので、二人の化学反応に期待しました」。桐野加奈子役には、本作が映画出演2本目となる関水渚。フレッシュな女性キャストに加わってほしい、という制作陣の意向で、オーディションを経ての大抜擢となった。そして、黒崎義裕役には、藤原と何度も舞台で共演経験がある吉田鋼太郎。意外にも映像では今回が初共演となる。「お二人が仲が良いことは知っていましたし、二人の演技バトルをぜひ『カイジ』で見てみたいと思いました」と藤村プロデューサーは語る。
新キャスト陣は、これまでの『カイジ』をもちろん観ており、あの世界に入れる喜びを感じながらの参加となった。「『カイジ』シリーズが大好きで、アメリカでも観ていました」という新田真剣佑は、「こんな映画に出てみたいと思っていたんです。だから、お話をいただいて、嬉しくて叫びました(笑)。『カイジ』の世界のちょっとしたスパイスになれればいいなと思いながら演じました」。
さらに大槻太郎役の松尾スズキ、坂崎孝太郎役の生瀬勝久、遠藤凛子役の天海祐希と、これまでの『カイジ』ワールドを彩ってきた豪華キャスト陣も出演。それぞれ短い登場時間ながらも、強烈な印象を残している。また、これまでの2作品でも出演を果たした福本は、今回、予算封鎖の有識者会議のシーンで登場している。

“帝愛ランド”にてクランクイン

本作は、2018年11月11日、栃木県宇都宮市の大谷石にてクランクイン。藤原演じる、ジーンズにモッズコート姿のカイジは、9年の時の流れを感じさせずにそこにいた。実はここは、『カイジ 人生逆転ゲーム』がクランクアップした場所であり、当時カイジが強制労働させられていた地下でのシーンを撮った場所。今回は、カイジたちが作っていた施設が完成し、“帝愛ランド”として登場。そこにカイジ、廣瀬、加奈子がやってくるシーンから撮影が始まった。
『カイジ 人生逆転ゲーム』で映画監督デビューした佐藤東弥監督が、『カイジ』を撮るのもこれで3回目。藤原とは『映画 ST赤と白の捜査ファイル』等でもタッグを組んでおり、息はぴったり。一方、初日で緊張していたという関水は、藤原や新田が温かく迎えてくれたことで、リラックスして挑めたと話す。「廣瀬に『笑ったことある?』と言うシーンも、藤原さんが『たとえばこうやって(廣瀬を)触りながら言ってみたら』とアドバイスしてくださって。そこまでやっていいんだと気づいて、それからのびのびと演じられるようになりました。加奈子は、“カイジ”と呼び捨てにできる役柄だったのも嬉しかったです」
『カイジ』の現場では、主に2台のカメラが使われ、テンポ良く撮影は進んでいく。キャスト陣は、カメラの前の張り詰めた雰囲気とうって変わって、待ち時間になると皆で一緒にお茶を飲んだり、他愛もない話をしたりといつも楽しそう。座長である藤原の周りに、自然と輪が広がっていた。

最後の審判

本作でもっとも大がかりな撮影となったのが、8日間かけて撮られた「最後の審判」のシーン。約1ヶ月の制作期間で完成した巨大な“人間秤”のセットは、監督のこだわりで実際に天秤になっており、微妙な傾きまで表現できるよう精巧に作られている。今回、用意された本物そっくりの金塊は1200個ほど。ほかにも、金目のものを持ち込んで通せば鑑定されて金塊となって戻ってくる金塊交換機など、特殊な装置が置かれており、非日常ながらリアリティも感じさせるカイジの世界が広がっている。
まずはリハーサル前に、佐藤監督がこのシーンの状況やゲームのルール、それぞれのキャラクターの今の感情、求められる動きや表情、動線などを、キャスト、スタッフに流れるように説明していく。台本を手に、「ここでこのカットを入れるので少し間が欲しいです」「ここはスピーチをするようなつもりで」「ここで○○は△△に気づきます」というように、演出はわかりやすく、明快だ。藤原に対しては、「たとえばこういうのもありかと思います」と提案することも。それを受けて藤原も意見を言い、すぐに方向性が決まっていく。シンプルなやりとりからも二人の信頼関係が垣間見える。
ここでカイジとバトルを繰り広げるのは、黒崎役の吉田鋼太郎だ。リハーサルから、藤原とはあうんの呼吸で、本番と違わぬエネルギッシュな演技を披露していく。まるで舞台のように滑舌良く、声も良く通り、説得力も凄まじい。すでにキャラクターが完璧にできあがっていて、緊張感あふれるセリフの応酬は見ごたえたっぷりだ。吉田は、今回の撮影について、こう振り返る。「藤原くんとは長い付き合いなんですが、映像の現場では初めてご一緒させていただき、密にお芝居ができて新鮮でした。素晴らしい秤のセットで、テンション高くお芝居をして、まるで舞台をやっているような感覚もありました。気持ちよくやらせていただいて、心地よい疲労感に包まれながらクランクアップすることができました」。現場で二人のやりとりを見ていた藤村プロデューサーは、「台詞がまるでアドリブ会話のように聞こえるリアルな演技合戦であり、上質な舞台を見ているような掛け合いの面白さがある現場でしたね。相手の芝居を受けて、セッションみたいに盛り上がっていく、芸達者なお二人にしかできない演技でした」。
この人間秤のシーンでは、一日につき100人以上、のべ1000人ほどのエキストラが動員された。佐藤監督は、エキストラに対しても、「ここでは『ざわ…ざわ…』」「ここでは固唾をのんで見守ってください」というように細かく演技をつけていく。カット数の多い『カイジ』の中でも特にその傾向が顕著なのが人間秤のシーンで、ほとんどの本番が1発OKだったにもかかわらず、撮影は長時間に及んだ。俳優陣の撮影が終わってからも、セットや小物の物撮りだけで2日間がかけられた。そうやってディテールを積み重ね、緻密に映像を組み立てる佐藤監督だからこそ、濃厚な『カイジ』ワールドを映画にすることが可能なのだ。

ゴールドジャンケン

帝愛ランドのVIP室で行われる「ゴールドジャンケン」のシーンは、関東近郊のホテルの大広間を飾り付けて早朝から撮影が行われた。他のシーン同様、まずは佐藤監督がそれぞれのキャラクターの心情、置かれている状況などを説明していく。たとえばカイジが部屋に入ってくるカット一つとっても、なんとなく役者に動いてもらうのではなく、「高倉がここで入口に背中を向けて電話をしていると、カイジが扉を開けて入ってくる。そこで高倉が振り返る……」と、監督の中でカット割りや映像が完璧にイメージできている。
「ゴールドジャンケン」は、『カイジ』の1作目が「限定ジャンケン」で始まっていたことに呼応し、考案されたゲーム。だが、ジャンケンは誰もが知るシンプルなゲームだけに、脚本はかなり苦労したとか。藤原演じるカイジと心理戦を繰り広げることになる高倉役の福士は、ジャンケンをどうカッコよく、頭脳的に見せるか、自分なりに考えたというが、「藤原さんが、ジャンケンするカイジの姿をすごく自然に素敵に見せていらっしゃったので、とても勉強になりました」とコメントしている。ちなみにこのシーン後の、とある競技場のグラウンドでカイジと高倉が対峙するシーンは、実際のサッカースタジアムにて撮影。台本上は雨のシーンではなかったが、現場に行くと、二人の芝居を盛り上げるような雨が降っていたので、そのまま撮影を敢行。印象的なシーンが誕生した。
その他にも、多数のエキストラを動員し、山下埠頭のビルの屋上にて撮影された「バベルの塔」、日活スタジオにセットを作って撮った「ドリームジャンプ」と、エキサイティングなシーンがいくつも撮影され、2018年12月末にクランクアップ。藤原は、「一般的なレベルの温度での芝居をしていたら『カイジ』の世界では通用しないので、脳みそが疲れて大変でしたが(笑)、新しいキャストの方々のいろんな才能と交われたのが非常に面白かったです」と充実の表情を見せた。